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建築に「緑」が与える影響と効能 [ ・New_ビオトープのある研究所]

先週土曜日は、僕が所属する設計事務所スタッフの見学会となりました。

建築については僕よりもベテラン揃いですが、デザインされた「緑」を体験する
機会は無かったようで、木道をゆっくり歩きながら色々と感じたようでした。

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■完成後


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■着手前
今回は耕作されていなかった農地を宅地に転用して研究所を建築したわけですが、
単に農地を潰すのではなく、利用されていなかった農地を有効活用するという、法律
本来の趣旨に則った開発行為となったと自負しています。

上記はあくまでビジネス視点での目的なわけですが、イチ市民として見た場合、開発
行為で求める緑化基準以上に落葉広葉樹でランドスケープをコントロールした事に、
設計者が人間のとして、イチ市民としてどう感じるかが大切だと思います。


元ランドスケープデザイナーとして建築に携わっている自分が、このブログで一貫して
伝えたいことが一つ形になったプロジェクトとなりました。

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役所の基準を大幅に超えて緑化する理由 [ ・New_ビオトープのある研究所]

外構工事が完了したため、晴れ間の差した時間に外構の完成写真を撮影し、
市役所の緑地課に「緑化完成届」を提出してきました。

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■エントランス
芝生広場の下には150㎥超のコンクリート製調整池が埋設されています。
土被りが確保できないため芝張りとし、囲むように中高木の植栽を施しました。

ゲストは落葉広葉樹主体の優しい樹林に導かれるようにエントランスへ
向かいます。



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■水源の水景
建物西側には千㎡近い屋根で受けた水が湧き出る池(水源)を雑木林で囲んだ
水景の中を歩けるよう、天竜杉の木道を巡らしています。



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■南側
幅が狭いため、池と言うよりも流れのように修景しました。



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■道路から見た水源の景色
外周部はH1200程度のメッシュフェンスで囲んでいるだけですから、散歩する
地域住民の方にも楽しんでいただけます。


これらの完成写真と緑化面積の計算書、緑化率を記載した工事完了届を提出したわけ
ですが、事前協議で担当された方がまだいらしたため直接説明しました。

すると、「事前協議の時からとても気になっていました。こんなに緑化される
事業者さんはいないので、どうしたらもっと緑化率を向上できるか思案していました」
とのこと。


話しを聞いてくれそうな方だったこともり、このクライアントさんがなぜ緑化基準の
15%を大幅に上回る緑化をしたのか、幾つかの観点にわけて30分近く説明しました。


緑化(植栽工事)による事業的なメリットは幾つもあるため、上位3つを中心に
説明しましたが、すぐにはピンと来なかったようです。

一言で言えば、緑化を「経費」と考えるか「投資」として考えるかの違いです。


ビオトープを設ける場合の多くは、広報広告費ですから建設事業費の2~3%程度。
多くても5%程度でしょう。
さらに、一年を通して管理経費が必要となりますから、経費=無駄な費用と
考える経営者が殆どだと思います。

また、潤沢に資金がある企業でも合議制の経営では、2割程度が否定論者で
6割が意見を持たない事が多いですから、大企業でも実現は難しい。


最初の一歩を踏み出せるのは、明確なビジョンを持ち、10年先の未来から今何を
すべきかを問えるバックキャスト思考の経営者でないと、新しい事を実現するのは
まず不可能です。

僕はそのビジョンを共有し、経費をできるだけ小さくし効果を大きくできるよう
設計することに配慮しました。

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関係者向け内覧会 [ ・New_ビオトープのある研究所]

雨空の間隙を縫ってようやく外構工事が終わったため、開発許可の工事完了届けを
提出したのが金曜日の17時。
後は、1週間の書類検査期間後に現場での検査に臨むだけです。

工事内容的には滞りなく終えて問題ないはずですから、後は引き渡しに向けてダメ周り
の補修や設備系の最終調整を行っているところです。


一方で、今回の設計では未経験の技術が多かったため、色々な方に助言をいただき
ましたから、ゼネコンさんの許可を貰い1時間程度の特別内覧会の場を設ける事に
しました。
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■東側の木道
まだ湿生植物がなく水生生物もいないため、生命感は殆ど感じられません。

ビオトープとは、失われた自然を人為的に再生する試みですから、これから長い
年月をかけて自然に再生産される生態系を育む事になるわけです。



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■南側の木道
3千㎡弱の計画地中央に千㎡弱の平屋の研究棟を建て、ぐるりと囲むように700㎡の
水辺景観を造成しました。

高さ7mから2m弱の落葉広葉樹を主体に200本以上、その他にも低木やグランドカバー
を数百株植えています。

今年はまだ樹幹が小さいですが、来年春までにしっかり根を張ってもらえば今の倍
以上の葉が茂るようになります。



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「あっ、あそこに魚が泳いでいる~!」
と言うシーンを演じてくれました(笑)

今月末には地域産のクチボソやモロコ、オイカワを1500匹放流する予定です。
いずれ様子を見て、淡水のマシジミやハゼ科の魚、ヌマエビの類も追加したいと
思います。


正解中から訪れたゲストが日本らしい自然に触れてもらえると嬉しいですね。


魚の放流の様子はまたご報告しますからお楽しみに!

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建築と消防の検査に合格 [ ・New_ビオトープのある研究所]

外構工事と下水道工事がまだ残っているものの、建築工事が先に完了したため、
指定確認検査機関により建築基準法の検査を受け、続けて浜松消防より
消防法の検査を受けました。

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■消防署職員による火災報知器の検査
消防法では、火災時の避難と消火活動のために、延べ面積の1/30以上の
ガラス開口部が必要となります。
映画館やショッピングセンター、地下街など、ガラスの開口部を設ける事が
できない建物はそのための設備が必要がなるため、消防法有窓なるように
計画します。

実地検査では、計画している開口部のガラスの大きさを実測し、有効な
開口部となるか確認し、必要な開口面積を有しているからチェックします。


この物件では32㎡以上必要なところ、30㎡弱と言う結果に消防職員の方が
焦っていましたが、開口部の数をカウントし間違えていることがわかり
ホッとしていました(笑)


建築、消防ともに大きな問題も指摘事項もなく、無事に終了。
火災報知器のバッテリー充電が十分でなく、現場検査で不適になりましたが
それも動画確認してもらえば再検査の必要もありません。


残すは、開発行為のための都市計画法の検査のみ。
外構工事を終えて、完成写真を添えた完了届けを検査の一週間前に提出し、
今月末に検査を受けて合格すれば、いよいよ建物が使用できるように
なります。


家族の理解のお陰で大企業の商品企画担当から、一級建築士事務所に転職して
はや1年9か月。
非住宅として初めての物件がいよいよ完成となり、生涯忘れられない誕生日
になりそうです。

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水景観を楽しむための木道工事 [ ・New_ビオトープのある研究所]

先週末から外構の木道工事がはじまりました。
お施主さんがもっとも楽しみにしている施設の一つです。

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■西側出入口からの眺め
研究開発に従事する社員の他、来社されたお客様が楽しめるよう、雑木林に
囲まれた水辺景観の中を散策できるようにするのが要望でした。



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■南側
こちらは少し狭い水辺になるため、水たまりと言うより大きめの玉石を多めに
使って流路のような景観にしました。


木道はコンクリート基礎と天竜杉の主桁、天竜杉の床版と言う非常にシンプルな
部材で構成されています。
そのため、機能がそのまま意匠(デザイン)に反映されるのと、工事費に大きく
響くため、経済設計となるよう配慮しました。

木道とは言え構造計算もしています。
構造事務所に依頼しようか悩みましたが、単純梁であることと高低差が殆どなくて
落下の危険性がないため、自分で手計算をして構造検討をしたため主桁が架かる
までは心配が尽きませんでした。


しかし、山形県の公園で「丸太橋」の設計をした経験が多いに役立ちました。
安全率を大きく取れば設計者としての不安は解消されますが、お施主さんの要望は
親水性と経済性の両立ですから二重チェックをし、アンカーボルトはステンレス
を使用するなど必要十分条件を満たすように頑張りました。

木道では他にも天竜杉を使用するなど、中々チャレンジングな試みもしているため
完成写真でもう少し詳しい解説を致します。

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初めてのクリーンルーム [ ・New_ビオトープのある研究所]

建築工事もいよいよ終盤に入り、各部屋が形になってきました。
「非住宅」とは言わば「働く建築」のこと。
人が仕事をし、社会に価値を提供するための建築ですから、各室にはそれぞれ
要求された機能があります。

この研究所は、世界中のゲストを迎える来客ゾーンと研究開発ゾーンに分かれて
いて、研究開発ゾーンはスタッフが技術開発に専念できるように配慮しました。

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■クリーンルーム
この研究所では、クライアントの要望により40㎡強のクリーンルームを設けて
います。
見た目は「まぁ、クリーンルームってこんな感じだよね!」と思われるはず。
しかし、ここに新製品がインストールされると、今までにないクリーンルームが
完成するとのこと。


コンセプト通りの性能が出れば、モノづくりの現場が飛躍的に変わる可能性を秘めて
いるため、設計者、施工者ともに期待を実現できるよう努めています。

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内装仕上げ工事も終盤 [ ・New_ビオトープのある研究所]

依頼していた舗装用タイルのサンプルを受取りがてら、施主定例報告兼ねて
進捗状況の撮影をしました。

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■来客ゾーンの廊下
製品の品質向上のための悩みを抱えたゲストは、エントランスホールに入ると
この廊下を通ってゲストルームへ向かいます。

革新的な技術で顧客の問題解決を図る企業さんですから、華美でなく知性を感じ
させるインテリアが要求されましたが、イメージした通りの雰囲気になっていて、
一先ずホッとしたところです。



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■リスニングルーム
革新的な技術は、技術者の頭の中で生まれます。
ビオトープも研究室もそのためにあるわけですが、気分転換し思考を深く掘り下げる
ためのリスニングルームが用意されています。

リスニングルームと言うと一般に「遮音」や「防音」しか対策されないのが多いと思い
ますが、「良い音」で聴くには音響機器の性能が発揮できるよう部屋の音響特性を
コントロールしなくてはいけません。

ルームアコーティクスと言って、プロが使用する音楽ホールやスタジオ、録音スタジオ
では当たり前に行われていますが、義務教育の学校音楽教室はかなりが間違ったやり方
になっているのが実情です。


このあたりは「調音パネル」の開発や「ホームシアターの家」のプロデュース経験が
おおいに役立ちました。

丁度居合わせた、若い現場スタッフに「調音」された部屋の効果を感じさせてあげると
「本当、全然違うんですね!」と驚いていました。

本業とまったく異なる仕事でも、依頼に本気で応えていくと10数年後に自身の
差別化につながるわけですから人生はわからないものです(笑)

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「ビオトープ」が目指すもの [ ・New_ビオトープのある研究所]

「ビオトープのある研究所」の設計を担当する事が決まってからこれまで自問自答
してきましたが、実際に形になってきたことでようやくその答えが見えてきました。

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■5/24の状況
雑木林の中の水辺景観をイメージしてきましたが、かなり近いものに仕上げて
くれました。
設計図では表現できないため、手描きスケッチを何枚も描き、施主に設計意図を
説明し、打合せた結果を現場監督と造園屋さんに伝えて進めてきました。



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■水辺のイメージ
この写真は川のもので、これを目指しているわけではありませんが、見比べて
いただくと雰囲気が良くわかると思います。



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■水辺景観のイメージ
川を橋の上から撮影した写真ですが、この写真から狙いを説明しました。
写真左上に「サギ」が一羽、居るのが見えると思いますが、完成して数年後には
こうなれば良いなと思っています。



「ビオトープ」と聞くと「池」や「湿地」を思い浮かべる方が殆どで、不思議で
仕方ありませんでした。
なぜなら「池」や「湿地」であれば、既に言葉として定義されているわけで、わざわざ
「ビオトープ」などと言う言葉を使用する意味がありません。


本プロジェクトのクライアントは、これまでの固定概念を打ち破る革新的な製品を
幾つも開発している企業ですから、「ビオトープ」においても本質的な価値を求めて
こられました。
そんなクライアントさんの要求が後押ししてくれたことで、表面的な「ビオトープ」
ではなく、ビオトープの本質に迫り、出来る事なら再定義したいと思うに至りました。



前置きが長くなりました。
結論を申し上げると、このプロジェクトにおける「ビオトープ」とは池や湿地と
言った「モノ」の事では無く、産業革命以降の近代化により壊してしまった自然を
人為的に再生しようと試みる手法のコンセプトの事と定義しています。

自然の生態系はバクテリアを含む目に見えないものから、周囲数キロ圏に生息する
鳥類、昆虫類を含む多様な遺伝子のバランスで成り立っていますから、同じものを
再現する事はできませんから「試みる」としました。

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内装工事の様子 [ ・New_ビオトープのある研究所]

本業、副業(ひなたCAFE)ともに何かしら進捗はあるものの、まだ正式に報告
できなかったり、報告するには微妙な変化だったりするため更新できない場合があり
ますが、決して忘れているわけではありませんから引き続き宜しくお願い致します。

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■カフェテリアから見たエントランスホール
天井の仕上げと空調、照明器具の取付け後、壁のジョリパットが終わりました。
この後、土間には300角の磁器質タイルが張られ、床にはフローリングが施されます。


この研究所には、世界中からお客様が来社される予定ですが、クライアントさんの
要望で日本的な洗練された雰囲気を要望されました。
そのため、華美にならず高価な材料を使わずに、建築では高速道路のサービスエリア
程度のグレード感を目指しました。

その分、外構部分のいわゆる「ビオトープ」で他の企業との差異を表現しています。
これまでのビオトープと言うと「沼地」や「湿地」の様なランドスケープ(景観)が
主流でしたが、このプロジェクトではその固定概念に一石を投じる提案をしました。


木道をめぐらしたビオトープを散策するのも楽しそうですが、雑木林を背景とした
水辺景観が迫る来客ゾーンや執務空間は中々のものになりそうで、一般の方にどう
感じられるか不安と楽しみが複雑に交錯しています(笑)


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ビオトープ第2工区の工事着手 [ ・New_ビオトープのある研究所]

研究所棟は内装工事が急ピッチで進む一方、研究所棟をグルっと取り囲む
「ビオトープ」の本格的な工事が始まりました。

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■第3工区から見た第2工区
最初に申し上げると、今回のプロジェクトで言う「ビオトープ」とは池や湿地
と言った水辺景観の事ではありません。
昨年6月にゼネコン各社に見積り依頼をした際、まずそこから説明をしました。

と言うのも「ビオトープ」の定義を間違って理解されると、一番大切な品質目標を
間違えてしまうためです。


設計事務所と言うと、図面を描いて見積もってもらい施工業者さんを選定して
「あとよろしく~♪」と思われる方もいらっしゃるようですが、そんなやり方では
絶対に完成させられないと言い切る自信があります(笑)

ビオトープの定義を何度も説明し、近しい写真を撮影すると印刷して現場事務所の
壁に貼り、現場の進捗状況から間違いに気づき大きな変更を提案もしました。
それに応えるように、現場監督も職人さんも期待以上の働きをしてくれています。


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第1工区から見た第2工区
300分の1スケールで直感的に描いた平面線形が、原寸で形になっていく。
緊張感と責任感、不安感、ワクワク感が混在し、何度も圧しつぶされそうになりながら
ここまで来れました。


これから少なくとも100年は存続させる想いと責任を持って望みましたし、これが実現
できたなら建設業界から足を洗っても後悔しないと思っています。



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■ゲストルームからの眺め
こちらは1週間前の様子。
完成したモノより、建設途中の方がダイナミックさを感じるのでは無いだろうか?
ゼネコンの監督と機械設備の担当者が、この光景を見て「近っ!」と一様に驚いて
いました。


自分としてはこれまでの概念を変える、本質的なビオトープを提案しましたが、
こうして実際に具現化してくると提案した本人が驚く程ですから、工事が完成し
生態系が落ち着く頃には一般の方でも十分に驚愕するモノになる気がしています。

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